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  Expressions 〜表現について〜

日本語のなかの外来語 〜翻訳借入語&カタカナ〜 

calque”「翻訳借入語句」

“外来語=カタカナ”というイメージがありがちですが、外来語というのはいろいろな形をして日本語の中に入ってきています。外国語からの言葉が借用される方法として “calque”「翻訳借入語句」というものがあります。例えば「〜は言うまでもない」という “it goes without saying that~”は、フランス語の表現 ça va sans dire que...”を直訳して英語に借用された表現です。日本語にこのようにして入ってきた表現は、“vicious cycle ”「悪循環」や、「種の起源」で用いられた “the survival of the fittest” の訳「適者生存」などが英語からの “calque”として挙げられます。(関連記事 Etymology  〜History(歴史)の中にStory(物語)あり〜“functional food” 「機能性食品」という表現は、逆に日本語の概念を紹介するために英訳されて、英語の仲間入りを果たしたものです。

 

カタカナ

カタカナ表記の外来語は、正しい英語の発音の習得を妨げるものとして嫌われることはあっても、賞賛されることはまずないですよね。国際社会に対応する日本語の在り方(国語審議会答申)  国際化に伴うその他の日本語の問題 で示されているように、「一般への定着が十分でなく,日本語に言い換えた方が分かりやすくなる語(例アカウンタビリティー⇒説明責任)」の場合は日本語を使うべきだと思いますが、それ以外のカタカナ外来語は日本語の中で大切な役割を担っているものもあると思います。

 

カタカナ表記の外来語の“出身地”を調べると日本と諸外国との関係が見えてくるようでおもしろいことが分かります。Bookshelf の「キーワード検索」を使ってカタカナ表記の語が何語から来ているのかまとめてみました。とりあえず、アルファベットだけの表記になっています。

 

ポルトガル語

モール

mogol

ボーロ

bolo

ピン(ピンからキリまで)

pinta

パン

pao

トタン

tutanaga

チャルメラ

charamela

タバコ

tabaco

シャボン

sabao

ザボン

zamboa

コンペートー(金米糖)

confeito

コップ

kop

キリシタン

Cristao

カルメ焼き

caramelo

カルタ

carta

カッパ(合羽)

capa

カステラ

pao de Castella

ミイラ

mirra 没薬(もつやく)という防腐剤の名

オランダ語

レッテル

letter

ランドセル

ransel

メス(手術で使うメス)

mes

ポンプ

pomp

ペンキ

pek

ピント

punt

タラップ

trap

ズック

doeck

スコップ

schop

サーベル

sable

カルキ

kalk

オルゴール

orgel

スペイン語

プラザ

plaza

カルデラ

caldera (カナリア諸島の噴火口の名。「釜」の意味)

カスタネット

castanet (小さな栗の実の意。)

ポンチョ

poncho

イタリア語

カジノ

casino (仏語でもあるが、もとは伊語)

モデラート

moderato

マエストロ

maestro

フーガ

fuga

ドイツ語

ワッペン

Wappen

O-157

Oは独語のOhne(無い)の頭文字。培養するときにシャーレに曇りが「無い」の意。

ルンペン

Lumpen(浮浪者)

ヨード

Jod

ヤッケ

Jacke

メルヘン

Marchen

ボンベ

Bombe

プレパラート

Praparat

ノイローゼ

Neurose

ドーラン

Dohran(会社名)

デマ

Demagogie

テーマ

Thema

テーゼ

These

タクト

Taktstock

ゼッケン

Decken

シュプレヒコール

Sprechchor

シュプール

Spur

シャーレ

Schale

ザイル

Seil

コンツェルン

Konzern

ゲレンデ

Gelande

ゲバ

Gewalt

ギプス

Gips

カルテル

Kartell

カルテ

Karte

オブラート

Oblate

エネルギッシュ

energisch

アイスバーン

Eisbahn

アルバイト

Arbeit

イデオロギー

Ideologie

フランス語

アンコール

encore 現在、この意味の場合はビス(bis)と言う

パフェ

parfait 「完全」の意

ロマン

roman

レジュメ

resume

ルポルタージュ

reportage

ルー

roux

ムニエル

meuniere

ムートン

mouton

マロン

a marron glace

ポシェット

pochette

フィアンセ

fiancé(男), fiancée(女)

ピンセット

pincettes

ビス

vis

ピーマン

piment

バカンス

vacances

フランチャイズ

franchise (古期)仏語「自由、率直」の意

デッサン

dessin

ズボン

jupon

シュークリーム

chou a la crème

ジャンル

genre

シック

chic

サブレー

sable

コント

conte

コンクール

concours

クロワッサン

croissant

クレープ

crepe

グランプリ

grand prix

グラタン

gratin

オブジェ

objet

オートクチュール

haute couture

エトランゼ

etranger

エスプリ

espirit

エスカルゴ

escargot

アンケート

enquete

アベック

avec = with()

アバンチュール

aventure

中国語

ギョーザ

jiaozi

チンゲンザイ(青梗菜)

quinggengcai

マンガン(満貫)

manguan

めんつ(面子)

mianzi

メンマ

mianma

ラーメン

lamian

ラーユ

layout

リーチ

lizhi(立直)

ワンタン

huntun、広東語では wahn-tan

チャンポン

中国語のチャンホウから

ロシア語

カンパ

kampaniya(大衆に呼びかけてする、資金の募集運動)

セイウチ

sivuch

ペチカ

pechka

ピロシキ

pirozhki

 

ラーメンと一緒に思い浮かべる チャルメラ” がポルトガル語というのは、なんか不思議な感じがします。それから「エネルギッシュ」「アイスバーン」という表現は、英語から入ったような響きがあるのですが、これがドイツ語から入っているというのも私には意外な事実でした。それからスキーの用語もドイツ語が多いんですね。どうしてなんでしょう? O-157Oにそんな意味が込められているとは知りませんでした。培養が云々、といったところで私には分かりませんが… (・・?

 

「カタカナ表記が英語の正しい発音の習得を妨げる!!」という主張も分かるのですが、それでは “英語” という言語はどうなんでしょう?オウエン・バーフィールドが「英語のなかの歴史」(中公文庫 渡部昇一=土家典生訳)で「英語とは『発音をひどくしたフランス語である』と、冗談めいて言われてきた。」と書いています。これは、1066年のノルマン・コンクエスト以降、フランス語が大量に英語に入ったことが一番大きな要因です。また、それ以降もギリシャ語、イタリア語などをはじめとして、かなりの数の言語が英語の語彙増大に貢献しています。このように他の言語から入ってきたものは、必ずといっていいほど“英語訛り”にされてとりこまれています。当然ながら、意味が変わってくるものもあります。

 

それでは、たとえばフランス語から英語に入ってきた“英語訛り仏語”は、英語の母国語話者がフランス語を勉強するときに“妨げ”にしかならないのでしょうか?確かに発音練習で苦労はすると思いますが、全く知らない言語を取得するよりかは、はるかに楽だと思います。それに今はやりの「通じればいいじゃないか」というコミュニケーション重視(?)の考え方なら、そんなに苦労しないのかもしれません。

 

日本では、テレビやゲームなどで最近使われている英語(カタカナも含め)が、かなり増えてきています。中学生の会話を聞いていて、そんな言葉を知っているのかと驚くことがあります。「カタカナ表記の外来語」を絶賛するつもりはありませんが、生徒の既知の情報と関連づけて英語を教えることは有効な手立てではないかと思うのです。英語教師としては、「カタカナはだめだ!!」と単に邪魔者扱いするまえに、功と罪の両面から「カタカナ」という存在を見ていきたいと思うのです。

 

 

 

 

関連参考サイト

外来語と日本文化 - 各国から伝わった言葉の由来、「てんぷら」の由来説、ゲームで覚える外来語等。

外来語の表記 - 外来語、カタカナ言葉の書き方に関する内閣告示。

国際社会に対応する日本語の在り方 - 外来語、外国語の増加問題にふれた2002年12月8日付の国語審議会答申。